やはりというべきか
環境というのは
絶対というものではあり得ず
どこまでも相対としか言いようがないようだ
鉛色の空気が漂う
どんよりとした冬の昼下がり
こんな何とも中途半端な時間帯は
スカッと風呂につかることに限る
寒さに震えながら
素っ裸になり
向う見ずに野外へと飛び出し
まずは大きな露天風呂へ向かう
その刹那
横に備え付けてある
簡易ベンチには
見ず知らずのおっさんが
体から湯気を立てながら
素っ裸で座っている
何とも涼しげな表情が癇に障る
こちらは寒さに震えているのに
おっさんは涼んでいる
自分とおっさんを取り囲む環境は
おそらく同じである
同じ気温で
同じ空間で
同じような醜いからだの持ち主でもある
しかしこちらは寒さに震え
まずは温かいお風呂に入りたい
それに比して
おっさんは熱いのはもう勘弁とばかりに
涼んでいるのだ
何とも
環境は同じでも
それを受け止める人間の側の状況によって
その同じである環境は
何ともま逆のごとくである
10分も熱い風呂につかる
そのあとは
私も先のおっさん同じく
裸のまんまに
ベンチに座り一息つくのである
自分がある環境に在る時
そのことはあたかも絶対の状況と感じてしまいがちである
といえど
一歩ひいて
懐疑的に感じてみるゆとりのようなものを
身につけたいものだ
おっさんの見苦しい肢体を
見るともなしに眺めながら
そんな事を考えた
風呂とは何とも
哲学的な空間でもある
たしか前もこんなことを感じた気がする
とすると
このことは
少なくとも自分にとっては
事実のようである
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