飛行機にての移動は仕事柄慣れている
しかしながら自分の郷里行きの飛行機に乗ると
やはり何かしらいつもとは違う
大勢の乗客が
何かしら自分と
つながりのある人たちのように感じられ
いつしか不自然な笑顔で眺めていたら
怪しいものでも見るような眼で
いぶかしがられた
少ない連休を利用して
久しぶりに鹿児島へ帰った
短い連休にもかかわらず
鹿児島行の飛行機は
満席である
よしよし
田舎に金を落としてくれ!
3月にもかかわらず
夏日かと思うほどの
陽気である
鹿児島空港に到着すると
そこの空気を吸うだけで
目頭が熱くなった
【そんな歳をとったわけでもなかとに・・・】
鹿児島では
ひとあし先に行っていた嫁と
甥っ子姪っ子が迎えに来てくれていた
よしよしかわいいの~
やはり自分の領域の人々は
かわいいのである
人間はその出自を越えられない
鹿児島空港からは
レンタカーである
高速はあえて乗らず
した道で鹿児島市へ向かう
溝辺から加治木
加治木から姶良へ
道が
自分が知っている道ではなくなっている
整備されているのである
薩摩も進化しているのであるなあ
そのまま父親の眠る
坂元の墓へ向かう
【自分が今あるのは
ご先祖様のおかげなのだよ・・】
そんなことを小さいとき
お墓参りでお花の水を変えながら
父親に諭された
確かにそうだ
この人がいなければ
今の自分は確実にない
血の連綿とした流れというものを
最近とみに思う
そんなお墓から
ふと仰ぐと桜島が見える
桜島はいつも見守ってくれているのだ
坂元から母方のご先祖様が眠る
草牟田の御墓へ
ここは往時
政府側が薩摩にあるその弾薬庫から
武器弾薬を運び出そうとしたとき
私学校の若者どもが襲った場所だ
ここから日本最後の内戦である
西南の役は勃発したといってもいい
草牟田弾薬庫跡という碑が
御墓の入り口にあった
そんな草牟田のご先祖にも
手を合わせる
いま思い出すと
小さい時から
お墓参りは
坂元と草牟田はセットであった
ということは
両親はきっちりと平等に
お互いのご先祖様を敬い
そこに引き継がんとする自分の子供らに
しっかりと手を合わせさせていたのだ
草牟田にすむおばちゃんへ
お土産を持っていく
お茶をいただきながら
いつの間に80歳になったという話を聞く
人間はいつの間に歳月を重ねるものだし
そして連綿とつながっていくのだと
改めて感じ入った
自分の母親が住んでいるのは
坂の上である
坂の上の朝を散歩した
幼少のころ通った通学路は
その道を挟む家並みは当時と全く変わっている
しかしながらその杣道だけは
昔と全く変わらず
その風景を残している
この道を幾人の人の足が
踏み越えていったのだろうか
春の朝
その杣道沿いにさく菜の花の景色は
幼少のころ
家路に帰る時に観た風景と
全く変わらなかった
朝の薄暗い道を先まで進むと
パッと開けるところがある
そこから
噴煙をくゆらす桜島が笑った
当然のことながら
人はその起源がある
ながい人類史的なことは
わからない
が、単純に
生活に密着した素朴な感情として
自分の原点は
自分の郷里にあるという感覚がある
私の場合は鹿児島である
久しぶりに
その小さすぎる自分の実家で
夜休んでいると
その部屋に何かしらご先祖様の
空気が充満しているような感じがした
恐怖とかとは全く次元の異なる感覚で
守ってもらっている安心感でいっぱいになった
そんな感覚の中
自分は希望したら何でもできるはずだと
何かしらとても満たされた感覚に包まれながら
気付いたら朝を迎えていた
人は
故郷を越えられない
薩摩なまりを越えられず
薩摩風のこいくちの顔は一生続く
といえど
故郷が力を与え続ける
今回の短い帰郷では
いつもと同じように
申し訳ないほどの力をもらった
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